意外と奥が深い!テニスのレットについて学ぼう

テニスのレットについて学ぼう

テニスの初心者にとってレットのルールは、少し分かりにくいかもしれません。そもそも、「レット」のことを「ネット」と勘違いしている人もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではレットが何を意味しているのかと、レットに関わる事例を紹介していきます。
テニスを始めたばかりの方や、これから始める予定の方は、レットについて基本的なところを押さえておきましょう。

目次

  1. レットとはそもそもどういう意味?
  2. サーブのときだけじゃない!レットを申告できる状況とは
  3. 誤解しがち!レットを申告できない事例
  4. セルフジャッジでレットをかけるときのポイント
  5. 将来レットはルールから消える?「ノーレット」とは
  6. レットのルールに詳しくなれば試合にも強くなる?

1.レットとはそもそもどういう意味?

テニスのレットの本来の意味は、「やり直しを求める」

テニスにおけるレットとは、ネットという意味ではないと上記では述べました。しかし、フランスではネットを指す言葉です。実は、フランスはテニス発祥の地といわれており、「レットの語源はフランス語ではないか」というのが有力な説となっています。
そのため、レットをネットと勘違いしてしまうケースが多いのは、フランス語の意味と混同しやすいからといえるでしょう。
テニスのレットの本来の意味は、「やり直しを求める」というものです。

レットがよく使われるケースとしては、サーブがネットに当たった状態で、相手のサービスコート内に入ってしまうケースが挙げられます。
ネットに触れるとノーカウント扱いになり、もう一度サーブをやり直さなくてはいけません。
通常は、審判がレットのコールをしますが、ルール上ではプレーヤーが必要に応じて自分からコールすることも認められています。

2.サーブのときだけじゃない!レットを申告できる状況とは

レットは、サーブのときによく使われているため、サーブにしか適用されないと誤解している方もいるのではないでしょうか。
しかし、実は他のシーンにおいても使われることがあります。どのようなシーンで適用されるか知っておかないと、誤って申請してしまう原因となりかねません。
ここでは、レットが申告できるのはどのような状況かについて詳しく紹介していきます。レットが申告できるタイミングを知っておけば、プレー中も迷いなく使うことができるでしょう。

2-1.サーブがネットに当たってから相手コートに入ったとき

レットを申告するケースとして多いのは、サーブがネットインしてしまったときです。相手のサーブが明らかにネットに触れているときは、レットを申し出てサーブのやり直しを求めましょう。
実は、ネットインとして扱われるのは網の部分だけでなく、真ん中にあるストラップや上部にあるバンドも対象です。
例えば、ネットに当たってから相手のサービスコート外に出てしまったときはフォルトとして処理されます。
フォルトになると、もう1回だけサーブをやり直すことができますが、2回失敗してしまうとダブルフォルトとなり相手の得点になってしまうため、注意が必要です。

つまり、レットのコールがかかったときはやり直しとなるため、単純にファーストサーブならファーストサーブ、セカンドサーブならセカンドサーブを打ち直します。
一方で、フォルトになるとミス扱いとなるため、ファーストサーブならセカンドサーブを打ち、セカンドサーブなら相手の得点としてカウントされることが大きな違いです。
レットは、一つの試合でそこまで立て続けに起こることではありません。しかし、レットをコールできる条件のときは何度でも申し出ることが可能です。
サーブでレットの申請がされるときは、サーブを打った後となるため、基本的にボールを受けるレシーバー側がレットのコールをかけることになります。そのため、サーバー側がコールしないように気を付けましょう。

2-2.相手が構えていないのにサーブを打ったとき

レシーバーがまだ構えていないにもかかわらず、サーブを打ってしまったときはレットの対象です。レシーバー側からノットレディとコールがあった場合は、受ける準備ができていなかったとしてレットが成立し、やり直しとなります。
相手が構える前に打つことは、ルール違反になるだけでなく、相手に良くない印象を与えてしまいかねません。
最低限のテニスのマナーとして、相手の行動をチェックしてからサーブすることを心がけましょう。

相手が構えていない状態でサーブを打ってしまわないよう、「サーブを打つ前にスコアアナウンスをする」ということも方法の一つです。大きな声でこれから打つことをアピールすることで、ノットレディとコールをかけられる心配が少なくなります。
審判がいない試合でサーバー側は、スコアアナウンスをしてからサーブを打たなければならないため、気をつけましょう。
審判がいない試合で、相手がスコアアナウンスをしてくれない場合は、スコアアナウンスするように求めることができます。

2-3.プレーを妨げるものがコートに侵入してきたとき

プレー中に障害物が侵入したときは、モノによっては「レット」をコールすることが可能です。例えば、「隣のコートからボールが飛んでくる」「動物が侵入してくる」など、プレーヤーの気をそらすような状況になってしまったときは、申告対象となります。
ただし、なかには判断が分かれるケースも少なくありません。例えば、「ハチが侵入してきた」といった危険性が高い状況の場合は、レットが成立するケースもあります。

また、障害物が侵入してきたときに、レットが無効とみなされるケースもあるでしょう。そもそも、レットをコールする以前にショットがアウトであったりサービスエースやリターンエースであったりした場合はレットが成立しません。
レットを成立させるには、打たれたボールの行方が重要です。基本的には、障害物が入ってきたことを伝えられれば問題ないので、タイムやストップと声掛けしてもかまいません。

ただし、レットを申し出るのは、ポイントが終了する前までと決められています。ポイントが入ったことが確定して、次のプレーに移ってしまうと基本的にレットが通らないため、注意が必要です。
相手がレットを認めてくれる場合は別ですが、ポイント確定後はほとんど難しいといえるでしょう。

2-4.ポケットにいれたボールをサーバーが落としてしまったとき

サーバーは、セカンドサーブ用のボールをポケットに入れているため、誤ってプレー中にボールを落としてしまうことがあります。
プレー中にボールが落ちたときは、レットの申告が可能です。しかし、対象となるのは1回目だけで、2回目以降にボールを落としてしまった場合は、失点扱いとなります。
ただし、ラケットがすっぽ抜けてコートに落ちてしまった場合は、レットの対象外です。この場合は、やり直しにならずそのままプレーは続行されます。

3.誤解しがち!レットを申告できない事例

ネットに当たって相手のコートに入ったり、イレギュラーが起きたりしたときにすべてレットの申告ができるわけではありません。
レットについて誤った認識を持っていると、間違った申告につながりやすくなってしまいます。レットを誤って申告していると、自分にとって不利になったり相手に悪い印象を与えてしまったりする原因となりかねません。
ここでは、どのようなケースではレットが成立しないのか3つの事例を紹介していきます。

3-1.ラリーをしている最中にネットインしたとき

サーブを打ってネットインしたときは、レットが成立します。しかし、ラリー中のネットインはレットの対象外です。ストークやボレーで打ち返しているときは、ネットインもプレーとしてみなされレットは成立しません。
プレー中は、打ち返すことに集中し「レットはそうそうないもの」と認識しておかないと、プレーに支障をきたす恐れがあります。

ラリー中にネットインしたときは、「コードボール」と呼び、やり直すことなくプレーはそのまま続けることが可能です。
ただし、真剣勝負が求められるテニスにおいて、あえてネットを狙うコードボールは良いものとされていないので注意しましょう。
故意ではなくとも、コードボールになってしまったときは、手を軽く挙げるなど相手選手へ謝るのが暗黙のルールです。
打ち返した後のネットインはコードボール、サーブのネットインはレットになると覚えておきましょう。

3-2.ボールがポールに当たって相手コートに入ったとき

あまり頻繁に起こることではありませんが、ネットの両端にあるポールにボールが当たって相手コートに入ってしまうケースがあります。
もし、サーブを打った後にポールに当たって相手のサービスボックス内に入ってしまったときは、レットではなくフォルト扱いです。
1回目のサーブでフォルト扱いになった場合、2回目のサーブを打てますが、連続で失敗するとダブルフォルトとなり、相手の得点になるので気をつけましょう。
ラリー中、ポールに当たって相手コートに入った場合は、インプレー扱いです。インプレーの場合、そのまま続行となるため、サービスボックス内に入ったときは相手に得点が加算されます。

3-3.ボールが人に当たってしまったとき

ボールが人に当たってしまったときは、誰に当たったかによって、レットを適用できるかどうかの判断が異なります。例えば、ダブルスのサーブで味方に当たってしまったときは、自分のチームの過失なのでフォルト扱いです。
体以外の着衣やラケットに当たってしまった場合も、味方に当てたときは同様にフォルト扱いとなります。
また、サーブではなくラリー中に味方にボールを当ててしまったときも、自分のチームの失点です。

一方、相手側にボールが当たってしまったときは、ボールが相手コートに入っているため、自分の得点として加算されます。
とはいえ、相手にボールを当てる行為はルール上では問題ないものの、ラフプレーとして扱われるので注意が必要です。間違ってボールを当ててしまったときは、すぐに謝りましょう。
相手が異変をうったえているときは、病院で診てもらうように促してください。仮に、異変がなくて試合を続行したとしても、「試合終了後体調に異変がないか」など、相手に配慮して再度声をかけておきましょう。

4.セルフジャッジでレットをかけるときのポイント

レットのコールをする際も紳士的な対応で。

テニス協会や連盟が行う大きな大会とは違い、テニススクールなどが開催している小さな大会(草トーナメント)では、セルフジャッジが一般的です。
セルフジャッジが求められる試合では、プレーヤーが自分たちでレットの申告をしなくてはなりません。プレーヤー同士でジャッジしなければならない場合は、レットのコールをする際も紳士的な対応が求められます。
隣のコートからボールが転がってくるなど、イレギュラーな事態が起こったときは、相手に分かるように大きな声でレットを申し出ることが大切です。

万が一、レットを求めたときに相手が気づかなければ、自分の失点とみなされるケースもあるでしょう。基本的に、セルフジャッジはあくまで両者の合意が必要です。
そのため、レットと判断されるようなケースでも、両者が気にしなければプレーを続けて問題にならないケースはあります。

5.将来レットはルールから消える?「ノーレット」とは

レットのルールは、将来的になくなる可能性がある。

実をいうと、レットのルールは、将来的になくなる可能性があります。2013年にテニスのルール改正が行われ、「ノーレット」というテニス用語が新たに生まれました。
ノーレットとは、その名の通りレットがない試合のことです。試合時間の短縮を図るためにつくられました。
4大大会など大きな規模の試合では、まだ実施されていませんが、すでにマイナーな大会では実験的に運用が行われています。

実際に、2017年11月7~11日にかけてイタリアのミラノで行われた「Next Gen ATPファイナルズ」ではノーレットが採用されています。
レットがなければ、ネットに当たったか分からないグレーゾーンの申請がなくなるので言い争いが起きなくなると、肯定的に受け取る人が多くみられたのです。
野球でも試合短縮の流れはあるため、同様にテニスにも時間短縮の流れができる可能性は十分に考えられます。

6.レットのルールに詳しくなれば試合にも強くなる?

レットのルールを理解しておくことで、有利になるケースもある。

「レットはなくなるかもしれない」と述べましたが、レットのルールを理解しておくことで、有利になるケースはあります。
特に、審判がいないセルフジャッジの試合においては、レットを知っているかどうかでスコアが変わる可能性があるでしょう。
「相手にレットを申告されたからやり直したけれど、ルール上では自分の得点になるはずだった」というケースは少なくありません。
ノーレットは、全試合で採用されているわけではないため、ルールが完全に採用されるまでは覚えておくようにしましょう。

テニスに限らずスポーツのルールは覚えることが多いため、ルールをあいまいに覚えている方は少なくありません。試合相手がレットのルールを誤解している可能性も考えられるため、十分に気をつけることが必要です
万が一、自分がルールを誤解していて、レットを誤って申し出てしまった場合は、自分の失点となる可能性があります。誤ったレットを申告されたり自分が誤って申告したりしないように、ルールについてはしっかりと勉強しておくのがおすすめです。
ルールを理解しておくと自信がつくため、プレーに対する集中力も変わってくるでしょう。

まとめ

テニスはルールが大事!楽しく学びたいならテニススクールへ

レットについてよく分かっていない方は、経験者であっても少なくありません。しかし、テニスをするなら、レットについてはぜひ覚えておきたいところです。
テニスを始めたばかりの方は、テニススクールに通うことで、コーチから正しいルールを丁寧に教えてもらえるため、おすすめです。ルールを理解してプレーすれば、今よりもっとテニスを楽しめるでしょう。

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